風はあまりないが、雨が少し強くなってきた。
1人暮らしの高齢者の方々に電話をする。
「台風が近づいてますよ。大丈夫ですか?」
「ありがとうね。近所の人が庭の飛びそうなものを片付けてくれたよ。目が見えないのを知っとんしゃあからね」
「よかったですね。直撃はしないみたいだけど、用心してください」
数年前、水路があふれて玄関まで水が押し寄せてきた家にも、高齢の女性が一人で住んでいる。
「今はまだ大丈夫よ。伊藤さんの実家(鹿児島)の方に上陸しそうやねえ」
「はい、そうなんです。また、水路があふれそうなときは、電話してください。どのうを積みにいきますから」
去年、電動車いすで健康福祉センターあごらに避難中、突風で橋から雷山川に落ちかけた方がいる。
「無理をしちゃいけませんよ。危ないですからねえ」
「市役所は、家の二階の方が安全というが、二階の上り下りもできん。二階はトイレもないから、家にはおられんとよ。近くのマンションに行けと言われてもなあ」
「ほんとうですね。避難所が少ないですから。いざというときは早めに迎えに行きます。一人で出ないでくださいね」
12日の一般質問で、甚大な被害を受けた朝倉市の雨量を聞いた。
市の説明では、24時間で1000ミリ降ったという。
1年間の平均雨量は約1700ミリだから、1日で半分以上が降ったのか。
傍聴席から「ほう…」というため息のような声が聞こえた。
傍聴室には、雷山川の近くの住民の方々が応援に来てくださっていた。
氾濫の心配がある川の近くに、市が50億円かけて地下34メートル、地下8メートルものアンダーパスを建設しようとしているからだ。
それも、住宅街を突き抜けて。人の家の前に。
去年のバキュームカー問題以上に住民には迷惑な開発だ。
異常気象で、風水害が頻発している。
しかもこの周辺は、浸水予想が2メートル以下となっている。
ここの道路は、いまのままの市道で、平面での道路整備をするべきだ。
それが住民の切実な願いである。